熱帯魚

グッピーの稚魚よ安らかに|熱帯魚トラブル体験記

グッピーの稚魚がメス親に!

グッピーの稚魚よ安らかに

まだ熱帯魚の飼育を始めてすぐの頃。ペアのグッピーを購入してきて、稚魚の誕生を心待ちにしていました。当時は水槽といえばステンレス枠の60センチ水槽が主流。もちろんシリコンなんていうものが使われているはずもなく、枠とガラスは浴槽などに使うパテで貼り付けられていました。蛍光灯だってステンレス製で、花や魚の切り抜きがあり、そこに色の付いたセロファンが張ってあって、ライトが点灯すると影絵のようになるという凝りようです。

グッピーのペアを入れたのも、そんな水槽。底には底面フィルターとウールマットの上に大磯砂を敷き詰め、お決まりのようにウォータースプライトを植えてありました。当時としては実にオーソドックスなセッティングです。

そうこうしているうちのメスの腹部はだいぶ大きくなり、稚魚の誕生が近いことがわかるようになりました。さっそく産卵箱を浮かせます。今の産卵箱は吸盤で取り付けるものが主流ですが、当時の産卵箱は浮力で浮くようなものだったり、アミのようなものを水槽のフチにひっかけるようなものでした。

私が選んだ産卵箱は浮くタイプ。上下を分ける仕切り板は今ではよくある谷のような形ではなく、何本もの細い棒を渡したようなものでした。この隙間から稚魚が下に落ちていくという仕掛けです。

産卵箱に入れてから数日が経ったある日、メスの腹部がすっかり小さくなっていました。産卵箱の下には稚魚がいます。初めてのブリーディング!本当に嬉しいできごとでした。

やがて少しづつ泳げるようになった稚魚が、徐々に上に浮上。少しづつ上がっていき、そして、なんと仕切り板から、いとも簡単にメス親のいるところに上がってしまったのです。

メス親は稚魚を見つけるとすごい勢いで追いかけはじめました。稚魚は必死に逃げ回ります。しかしあっという間にメスの口に吸い込まれてしまいました。まさに一瞬の出来事でした。

私も初めは何が起こったのか理解できませんでした。まさか自分の産んだ稚魚を食べるなんていうことは、考えてもいなかったからです。ショックでした。口の中で守るのかなと思ったほどでした。あれから30年が経った今でも、その時の光景はよく覚えています。